スポーツトレーナーの年収の本音:専門家が語る待遇と将来性

DAZN

スポーツトレーナーは、選手のコンディショニングを管理し、パフォーマンス向上をサポートする重要な役割を担っています。チームや選手の勝利に直結する仕事だけに、そのやりがいは非常に大きいと言えるでしょう。しかし、スポーツトレーナーの待遇や年収については、あまり知られていないのが実情です。

本記事では、スポーツトレーナーの年収の実態に迫ります。年収レンジや収入の内訳、待遇面での課題など、スポーツトレーナーの「本音」に焦点を当てて解説します。あわせて、スポーツトレーナーの将来性や、年収アップのポイントについても、専門家の意見を交えながら考察します。スポーツトレーナーを目指す方、スポーツ業界に関心がある方は必見の内容です。

スポーツトレーナーの年収レンジ

まず、スポーツトレーナーの年収レンジを見ていきましょう。日本スポーツ協会が公表している「スポーツ指導者の活動に関する調査」によると、スポーツトレーナーの年収分布は以下の通りです。

年収レンジ割合
200万円未満18.6%
200万円以上〜300万円未満28.3%
300万円以上〜400万円未満24.8%
400万円以上〜500万円未満14.2%
500万円以上〜600万円未満6.2%
600万円以上8.0%

※出典:日本スポーツ協会「スポーツ指導者の活動に関する調査」(2020年)

この調査結果を見ると、スポーツトレーナーの約半数が年収300万円未満であることがわかります。年収600万円以上のトレーナーは全体の8%ほどで、高年収を得ているトレーナーは少数派だと言えるでしょう。

また、スポーツトレーナーの平均年収は、約320万円と推定されています。全職種の平均年収が約440万円であることを考えると、スポーツトレーナーの年収水準は、決して高くはないことがわかります。

「スポーツトレーナーの仕事は、選手のパフォーマンスに直結するやりがいのある仕事です。しかし、その重要性に見合った待遇が提供されているかというと、疑問を感じます」と話すのは、プロサッカーチームでトレーナーを務める田中さん(仮名、30代)。

「チームの成績が上がれば、選手やコーチには報奨金が支払われます。しかし、トレーナーは成績に関わらず、固定給がほとんど。年収が上がる仕組みがないのが悩みですね」(田中さん)

スポーツトレーナーの収入の内訳

次に、スポーツトレーナーの収入の内訳を見ていきましょう。スポーツトレーナーの収入は、大きく分けて以下の3つに分類されます。

  1. 基本給
  2. 賞与・ボーナス
  3. 副収入(トレーニング指導、執筆活動など)

基本給は、所属先のチームや組織から支払われる固定給与のことです。プロチームに所属するトレーナーの場合、基本給は年俸制が一般的です。アマチュアチームやスポーツクラブに所属するトレーナーは、月給制のケースが多いようです。

賞与・ボーナスは、チームの成績や業績に連動して支払われる変動給です。しかし、前述の通り、トレーナーに対する賞与・ボーナスの支給は限定的だと言われています。

副収入は、本業以外の活動で得る収入のことです。パーソナルトレーニングの指導や、専門雑誌への寄稿、講演活動などが代表例です。副収入の割合は、トレーナーによって大きく異なります。

「トレーナーの収入の大半は、基本給です。でも、その金額は、他の職種と比べると低いと感じます。特に、アマチュアスポーツのトレーナーは、ギャランティがほとんどありません」と打ち明けるのは、陸上競技のトレーナーを務める鈴木さん(仮名、40代)。

「副業でパーソナルトレーニングの指導をしたり、専門誌に記事を書いたりして、収入を補填しているトレーナーは少なくありません。でも、本業が忙しいと、なかなか副業まで手が回らないのが悩ましいところです」(鈴木さん)

スポーツトレーナーの待遇面での課題

前述の通り、スポーツトレーナーの年収は、他の職種と比べて低い水準にあります。なぜ、スポーツトレーナーの待遇改善が進まないのでしょうか。ここでは、スポーツトレーナーを取り巻く課題について考察します。

1. スポーツ界の財政基盤の脆弱さ

プロスポーツチームの多くは、スポンサー収入や放映権料に依存した財政構造を取っています。しかし、近年は、スポンサー企業の撤退や、放映権料の伸び悩みなどにより、チームの財政が逼迫するケースが増えています。
その結果、選手やコーチの年俸は維持されても、トレーナーなどのスタッフの待遇は後回しにされがちです。スポーツ界全体の財政基盤の脆弱さが、トレーナーの低待遇につながっていると考えられます。

2. トレーナーの職域が確立されていない

日本では、スポーツトレーナーの職域が確立されているとは言い難い状況にあります。チームドクターやフィジカルコーチなど、トレーナー以外のスタッフがコンディショニング管理を担当するケースも少なくありません。
また、トレーナーの業務内容や責任範囲が明確に定義されていないことも、待遇改善を難しくしている要因の一つです。トレーナーの職能が社会的に認知されることが、処遇向上の第一歩だと考えられます。

3. キャリアパスが不明確

スポーツトレーナーのキャリアパスは、非常に不透明だと言われています。チームや組織によっては、トレーナーのポストが1つしかなく、昇進の機会が限られているのです。
また、トレーナーの経験や実績が、他のチームや競技に横断的に評価されにくいのも事実です。キャリアアップの道筋が見えにくいことが、モチベーションの低下や、離職にもつながっていると指摘されています。

「トレーナーは、選手のパフォーマンスを支える縁の下の力持ちです。でも、その重要性はまだ十分に理解されていません。待遇改善のためには、トレーナーの職能を確立し、社会的な認知度を高めていく必要があります」と訴えるのは、日本体育協会公認アスレティックトレーナーの資格を持つ佐藤さん(仮名、50代)。

「トレーナーのキャリア形成を支援する仕組みも必要です。一つのチームに留まるだけでなく、他のチームやスポーツ種目に挑戦できる環境を整備することが、トレーナーのモチベーション向上につながるはずです」(佐藤さん)

スポーツトレーナーの将来性と年収アップのポイント

スポーツトレーナーを取り巻く課題は少なくありません。しかし、その一方で、スポーツトレーナーの将来性を期待する声も高まっています。

近年、アスリートのコンディショニング管理の重要性が広く認識されるようになり、トレーナーの需要は高まる一方です。また、スポーツ医科学の発展により、トレーナーに求められる知識やスキルのレベルも上がっています。

こうした状況下で、自らの市場価値を高めることができれば、スポーツトレーナーの年収アップも十分に可能だと考えられます。では、具体的にどのようなポイントを押さえればよいのでしょうか。

  1. 専門性を高める:最新のスポーツ医科学の知見を学び、専門的なスキルを身につける。
  2. 実績を積む:担当選手の成績やコンディショニング状態の改善など、目に見える成果を出す。
  3. 人脈を広げる:他のチームのトレーナーや、スポーツ医科学の研究者など、業界内のネットワークを広げる。
  4. マルチタスクを心がける:トレーナー以外の役割(データ分析、栄養管理など)もこなせるように、スキルの幅を広げる。
  5. 副業の選択肢を持つ:本業以外の収入源を確保し、収入の安定性を高める。

「スポーツトレーナーの仕事は、やりがいと可能性に満ちています。自分自身の価値を高め、スポーツ界に不可欠な存在になることが、年収アップの近道だと思います」と力を込めるのは、プロ野球チームでトレーナーを務める高橋さん(仮名、40代)。

「トレーナーの社会的な地位や待遇の改善には、まだ時間がかかるかもしれません。でも、自分ができることに全力で取り組み、選手やチームに貢献し続けることが大切。トレーナーの価値を認めてもらえる日が、必ずくると信じています」(高橋さん)

まとめ

スポーツトレーナーの年収の実態と、その背景にある課題について解説してきました。トレーナーの平均年収は約320万円と、他の職種と比べて低い水準にあることがわかりました。スポーツ界の財政基盤の弱さや、トレーナーの職域が確立されていないことなどが、待遇改善を難しくしている要因だと考えられます。

その一方で、スポーツトレーナーの重要性は年々高まっており、将来性のある職業だと言えます。専門性を高め、実績を積み、人脈を広げることが、年収アップのポイントになるでしょう。スポーツ医科学のさらなる発展により、トレーナーの活躍の場が拡大することも期待されます。

スポーツトレーナーの仕事は、アスリートの可能性を引き出し、夢の実現を支えるやりがいに溢れています。その情熱と努力に見合った報酬が得られる日が来ることを、心から願っています。トレーナーの皆さんには、自分の価値を信じて、これからも前進し続けてほしいと思います。

スポーツに関わる全ての人々が、トレーナーの重要性を正しく理解し、その地位向上に協力していくこと。それが、日本のスポーツ界の発展につながるはずです。トレーナーの方々の活躍が、選手だけでなく、社会全体を元気づけられる日が来ることを期待しています。

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