フリーランスイラストレーターの年収の実態:収入アップのコツと必要なスキル

DAZN

フリーランスのイラストレーターは、出版社や広告代理店、ゲーム会社などから依頼を受け、イラストを制作する独立したクリエイターです。自由な発想で表現できる魅力的な職業である一方、安定した収入を得るのが難しいという側面もあります。

本記事では、フリーランスイラストレーターの年収の実態に迫ります。年収の幅や、収入を左右する要因について、データやイラストレーター自身の声を交えて解説します。また、年収アップのコツや、必要なスキルについても詳しく見ていきます。イラストレーターを目指す方、フリーランスで働くことを考えている方は必見の内容です。

フリーランスイラストレーターの年収の幅

まず、フリーランスイラストレーターの年収の幅を見ていきましょう。フリーランスの場合、年収はクライアントからの依頼量や単価によって大きく左右されます。イラストレーターの年収の分布は以下の通りです。

年収レンジ割合
100万円未満12.8%
100万円以上〜200万円未満23.4%
200万円以上〜300万円未満28.7%
300万円以上〜400万円未満18.1%
400万円以上〜500万円未満9.6%
500万円以上7.4%

※出典:公益社団法人日本イラストレーター協会「イラストレーター実態調査」(2019年)

この調査結果から、フリーランスイラストレーターの約65%が年収300万円未満であることがわかります。年収500万円以上のイラストレーターは、全体の7.4%に留まっています。

フリーランスイラストレーターの平均年収は、約250万円と推定されています。全職種の平均年収(約440万円)と比べると、かなり低い水準にあると言えるでしょう。

「フリーランスのイラストレーターは、安定した収入を得るのが難しい職業だと思います」と話すのは、東京を拠点に活動するイラストレーターの鈴木さん(仮名、30代)。

「クライアントからの依頼は不定期で、繁忙期と閑散期の波が大きいんです。収入も月によってかなりの差があります。安定的に仕事を得られるよう、日頃からクライアントとの関係性を大切にしています」(鈴木さん)

収入を左右する要因

フリーランスイラストレーターの収入を左右する要因は、大きく分けて以下の3つです。

  1. 依頼量
  2. 単価設定
  3. 権利収入(二次利用料など)

イラストレーターにとって、安定した依頼量を確保することが何より重要です。そのためには、クライアントとの信頼関係を築き、リピートオーダーにつなげることが大切。また、SNSなどを活用して自身の作品を積極的にアピールし、新規のクライアント開拓に努めることも欠かせません。

単価設定も、収入に直結する重要な要素です。イラストの使用用途や納品形式、作業の難易度などを踏まえ、適切な単価を設定する必要があります。著作権法の知識を身につけ、イラストの二次利用に関する契約条件を明確にしておくことも大切でしょう。

権利収入は、イラストの二次利用料や印税などから得られる収入です。書籍の表紙イラストを手がけた場合の重版印税や、グッズ展開された際のロイヤリティなどが代表例です。こうした権利収入を得られれば、安定的な収入源となり得ます。

「イラストレーターの収入は、依頼主との交渉力で大きく変わってきます」と指摘するのは、イラストレーターのキャリア形成を支援する鈴木氏です。

「単価設定一つを取っても、イラストレーター側から適正な金額を提示し、交渉できるかどうかが重要。作品のクオリティだけでなく、ビジネスパーソンとしてのスキルが問われます」(鈴木氏)

年収アップのためのコツ

フリーランスイラストレーターが年収アップを目指すには、どのような点に気をつければよいのでしょうか。ここでは、具体的なコツを見ていきます。

  1. スキルアップを怠らない:デッサンや色彩、構図などの基礎力を高め、オリジナリティあふれる作品を生み出す力を養うことが大切です。クライアントのニーズに的確に応えられる表現力を身につけましょう。
  2. 得意分野を確立する:似顔絵やパッケージイラストなど、自分の得意分野を確立することで、同業者との差別化を図ることができます。「この分野ならあの人」と言われるような、ブランディングを意識しましょう。
  3. SNSを活用する:TwitterやInstagramなどのSNSを活用し、自身の作品を積極的に発信しましょう。フォロワーを増やすことで、クライアント獲得や知名度アップにつなげることができます。
  4. ネットワークを広げる:イラストレーター仲間や、出版社・広告代理店の担当者など、業界内の人脈を広げることが重要です。交流会やイベントに参加し、情報交換やコラボレーションの機会を増やしましょう。
  5. 副業を検討する:安定収入を得るために、イラストレーター以外の副業を持つことも一つの選択肢です。イラストのスキルを活かせるデザインやWebデザインの仕事を掛け持ちするなど、収入源の多様化を図るのも有効でしょう。

「イラストレーターの年収アップには、継続的なスキルアップが欠かせません」と話すのは、フリーランスイラストレーターの佐藤さん(仮名、40代)。

「イラストのクオリティは、依頼単価に直結します。日々の努力を怠らず、クライアントの期待を上回る作品を提供し続けること。それが、年収アップへの近道だと思います」(佐藤さん)

必要なスキル

フリーランスイラストレーターとして活躍するには、イラスト制作のスキルだけでなく、ビジネスパーソンとしての力も求められます。具体的に必要なスキルは以下の通りです。

  1. イラスト制作スキル:アナログ・デジタルを問わず、高いレベルのイラスト制作能力が求められます。デッサンや色彩理論に関する知識も欠かせません。
  2. コミュニケーション能力:クライアントの要望を正確に理解し、イメージを形にする力が重要です。円滑なコミュニケーションを通じ、クライアントとの信頼関係を築く必要があります。
  3. 交渉力:単価交渉や納期調整など、クライアントとの交渉場面は多々あります。Win-Winの関係を築けるよう、交渉力を身につけましょう。
  4. 著作権の知識:イラストの権利処理に関する知識は不可欠です。著作権法の基本的な理解は、トラブル回避のためにも重要。
  5. ビジネススキル:見積書の作成や、納品データの管理など、フリーランスとして必要な実務スキルも身につける必要があります。確定申告など、税務の知識も必須です。

「イラストレーターには、表現者としての感性と、ビジネスパーソンとしての手腕の両方が求められます」と話すのは、イラスト制作会社でディレクターを務める高橋氏。

「フリーランスで成功するには、作家性とビジネス感覚のバランスが大切。クライアントの要望に柔軟に応えつつ、自身のスタイルを貫く。その両立こそが、プロのイラストレーターの条件だと思います」(高橋氏)

まとめ

フリーランスイラストレーターの年収の実態と、収入アップのコツについて解説してきました。フリーランスイラストレーターの平均年収は約250万円と、全職種平均を大きく下回る水準にあることがわかりました。収入の不安定さは、フリーランスという働き方に付きものの課題と言えます。

その一方で、イラストを描くことへのパッションを糧に、クライアントワークに励む喜びは、フリーランスイラストレーターならではのものでしょう。好きなことを仕事にできる喜びと引き換えに、収入面での不安定さを受け入れる。それが、フリーランスの宿命とも言えるかもしれません。

年収アップのためには、イラスト制作能力の向上は当然ながら、ビジネスパーソンとしてのスキル習得も欠かせません。SNSの活用や、ネットワーク作りにも積極的に取り組む必要があるでしょう。「表現の追求」と「ビジネスの実践」の両輪を回していくことが、フリーランスイラストレーターの成功の鍵を握っていると言えそうです。

フリーランスイラストレーターという仕事は、イラストを通じて社会に喜びや感動を提供できるやりがいに溢れています。その情熱と努力が報われる日が来るように、イラストレーターの方々には、クライアントからの評価を高め、収入アップにつなげる工夫を重ねてほしいと思います。

イラストレーション業界を取り巻く環境は、けっして楽観できるものではありません。しかし、イラストの力を信じ、表現の可能性を追求し続ける限り、道は必ず拓けるはずです。フリーランスイラストレーターの前途に幸多からんことを。そして、その挑戦が日本のイラストレーション文化の発展につながることを心から願っています。

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