トリプルスリーとは?トリプルスリーの意味は?歴代の達成者は誰?
トリプルスリーとは、プロ野球で「打率3割以上」「本塁打30本以上」「盗塁30個以上」の記録を、1シーズンで全ての成績を残すことを言います。
トリプルスリーは、ヒットやホームランの打力と盗塁を成功させる走力の両方を兼ね備えた好打者であることの証明です。
1920年に日本プロ野球の始まりとされる日本運動協会が設立されてから約100年にも渡るプロ野球の歴史の中で、現在までにトリプルスリーを達成したプロ野球選手は、わずか10名のみです。
また、メジャーリーグの長い歴史の中でも、トリプルスリーを達成した選手は現在までに22名のみとなりますので、打力と走力を兼ね備えたトリプルスリーという記録が、いかに偉大な記録なのかがわかります。
トリプルスリーとは?
トリプルスリーとは、1シーズンに打率3割、30本塁打、30盗塁以上の成績を残すことを言います。
一般的に1シーズンで3割以上の打率を残す選手は、一流のプロ野球選手とされます。また、1シーズンに30本以上ものホームランを打つ選手も、パワーのある一流選手とされます。
さらに、盗塁数も1シーズンに30盗塁以上を達成する選手は、走力に優れた一流選手とされますので、トリプルスリーは野球の攻撃において、非常に優れた選手であることの証明なのです。
日本プロ野球でトリプルスリーを達成したのは、わずか10名のみ
日本のプロ野球で、打率3割以上、本塁打30本以上、盗塁30個以上のトリプルスリーを達成したのは、現在までにわずか10名のみです。2015年、2016年に東京ヤクルトスワローズの山田哲人選手が2年連続で複数回のトリプルスリーを達成しましたが、複数回のトリプルスリーを達成したのも日本プロ野球史上初となります。
日本プロ野球のトリプルスリー歴代達成者一覧
達成者 | 達成年 | 打率 | 本塁打 | 盗塁 |
岩本義行 | 1950年 | .319 | 39 | 34 |
別当薫 | 1950年 | .335 | 43 | 34 |
中西太 | 1953年 | .314 | 36 | 36 |
簑田浩二 | 1983年 | 312 | 32 | 35 |
秋山幸二 | 1989年 | .301 | 31 | 31 |
野村謙二郎 | 1995年 | .315 | 32 | 30 |
金本知憲 | 2000年 | .315 | 30 | 30 |
松井稼頭央 | 2002年 | .332 | 36 | 33 |
山田哲人 | 2015年 | .329 | 38 | 34 |
柳田悠岐 | 2015年 | .363 | 34 | 32 |
山田哲人 | 2016年 | .304 | 38 | 30 |
トリプルスリーはイチローも長嶋茂雄も王貞治も達成していない記録
トリプルスリーは、ヒットを打つ能力(打率)、ホームランを打つパワー・長打力(本塁打)、次の塁に進む走力(盗塁)の3つの能力に優れた選手でなければ達成することができない記録です。
そのため、イチロー選手のようにヒットや盗塁に優れたアベレージヒッターは本塁打数が足りず、王貞治さんのように長打力に優れたホームランバッターは盗塁数が少なくなる傾向があります。
トリプルスリーを達成できなかった理由
イチローはホームランが足りない
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メジャーリーグで活躍しているイチロー選手は、走攻守が全て揃った非常に優れた選手です。イチロー選手はこれまでに数々の記録を打ち立て、プロ野球における通算安打世界記録保持者としてギネス世界記録にも認定された超一流の選手です。
しかし、イチロー選手は首位打者や最多安打、打点王や盗塁王などのタイトルは獲得していますが、本塁打王のタイトルは獲得していません。現在までのホームランの最高記録は、オリックス時代の1995年に記録した1シーズン25本です。
長嶋茂雄は一塁を踏み忘れた
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ミスタープロ野球の長嶋茂雄さんは、通算打率.305、通算本塁打444本の誰もが知っているスーパースターです。また、打率が3割を超えたシーズンは11回、ホームランが30本を超えたシーズンは5回もありました。
しかし、長嶋茂雄さんは1シーズンで30盗塁以上を記録したのは、22歳(1958年)の37盗塁と24歳(1960年)の31盗塁の2回のみです。30歳以降は、盗塁数が二桁を記録したシーズンが1度もありませんので、仮に盗塁数が多ければトリプルスリーを達成した可能性が非常に高いと言えます。
また、長嶋茂雄さんは29本塁打となった1958年に、一塁を踏み忘れてホームランが取り消された「幻の本塁打」が1本ありましたので、仮に一塁を踏み忘れていなければ、長嶋茂雄さんもトリプルスリーの達成者となっていた可能性があります。
王貞治は盗塁が足りない
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通算本塁打868本を記録している世界のホームラン王の王貞治さんも、盗塁数が足りないことでトリプルスリーの達成はありませんでした。
王貞治さんは、打率が3割を超えたシーズンは13回、ホームランが30本を超えたシーズンは19回もありました。しかし、盗塁数が二桁を記録したのは1961年の10盗塁のみで、その他のシーズンでは全て一桁の盗塁数でした。王貞治さんは前人未到の868本ものホームランを打っていますので、盗塁数が少ないのも納得です。
トリプルスリーと打撃タイトルを同時に受賞したプロ野球選手は?
トリプルスリーは、1シーズンに打率3割以上、30本塁打以上、30盗塁以上の成績を残すことを「トリプルスリー」と言いますが、歴代のトリプルスリー達成者の中には、トリプルスリーの達成と同時に打撃タイトルを獲得した選手もいます。
ただ、トリプルスリーを達成し、さらに打撃タイトルを獲得した選手は、これまでに別当薫さん、中西太さん、山田哲人選手、柳田悠岐選手の4名のみとなりますので、「トリプルスリー+打撃タイトル」の同時受賞は非常に難易度が高い栄誉と言えます。
トリプルスリーと打撃タイトルの同時受賞者
歴代の同時受賞者一覧
同時受賞者 | 達成年 | 記録 |
別当薫 | 1950年 | トリプルスリーと本塁打王 |
中西太 | 1953年 | トリプルスリーと本塁打王 |
山田哲人 | 2015年 | トリプルスリーと本塁打王、盗塁王 |
柳田悠岐 | 2015年 | トリプルスリーと首位打者 |
山田哲人 | 2016年 | トリプルスリーと盗塁王 |
トリプルスリーは10年に1度の偉大な記録
トリプルスリーは非常に難易度が高く、達成するのが困難な記録です。
一般的に、イチロー選手のようにヒットを量産するタイプの選手は足が速くて守備能力も高く、全てにおいて非常に優れた選手ですが、唯一、打撃のパワーは劣るようになりますので、ホームランをガンガン打って本塁打王のタイトルを取ることは難しいのが現状です。逆にホームランを量産するようなパワーヒッターは、パワーがある分、あまり足が速くない選手が多いのです。
そのため、ヒットもホームランも打って、さらに足が速くて盗塁が多いというトリプルスリーという記録は、なかなか達成されない記録です。これまでに日本プロ野球でトリプルスリーを達成したのは10名ですから、単純計算でトリプルスリーの達成率は10年に1人という非常に珍しい記録です。
また、山田哲人選手のようにトリプルスリーを複数回達成したのは、約100年の日本プロ野球の歴史の中でも初となりますので、2015年と2016年にトリプルスリーを達成した山田哲人選手の記録は、非常に珍しい記録とも言えます。
野球ファンとしては、山田哲人選手や柳田悠岐選手のように、トリプルスリーを達成するような選手がもっと出て欲しいと思いますね。