一代年寄とは?一代年寄の条件は?一代年寄と通常の親方の違いは?
一代年寄とは、現役時代に功績が著しかった横綱が引退した際に、引退後も現役の四股名を名乗ることができる特別な年寄名跡です。
現時点の一代年寄は、大鵬幸喜(第48代横綱)、北の湖敏満(第55代横綱)、千代の富士貢(第58代横綱)、貴乃花光司(第65代横綱)の4名です。千代の富士は、九重部屋を継ぐために一代年寄を辞退していますので、大鵬、北の湖、貴乃花の3名が一代年寄となります。
通常、大相撲の力士が引退して日本相撲協会に残る場合には、年寄株を取得して年寄になることが条件です。しかし、一代年寄は通常の年寄とは別で、横綱一代に限って例外的に認められる年寄名跡となります。
一代年寄とは?
一代年寄とは、現役時代の功績が著しかった横綱に対して、現役引退後にその横綱一代に限って認める年寄名跡です。
一代年寄を決めるには日本相撲協会の理事会の決議が必要ですが、一代年寄になると現役時の四股名のまま年寄になることができます。また、一代年寄は定年まで四股名で日本相撲協会に残ることができますので、現役時の四股名で自分の部屋を持つこともできるようになります。
ただし、一代年寄は一代限りの年寄となりますので、一代年寄の譲渡や継承はできません。その代わり一代年寄になると、一代年寄の名跡と別で通常の年寄株を一つ保有することが認められています。
一代年寄の一覧
一代年寄は、第48代横綱の大鵬幸喜、第55代横綱の北の湖敏満、第58代横綱の千代の富士貢、第65代横綱の貴乃花光司の4名です。
ただし、第58代横綱の千代の富士は一代年寄を辞退していますので、厳密には大鵬幸喜、北の湖敏満、貴乃花光司の3名が一代年寄となります。一代年寄後は、大鵬部屋、北の湖部屋、貴乃花部屋をそれぞれ創設しています。
大鵬幸喜(第48代横綱)
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元横綱 大鵬は1960年代を代表する大横綱です。幕内最高優勝は歴代2位の32回、横綱在位は歴代4位の58場所です。現役時代は、子供に人気のあるものの代名詞として「巨人、大鵬、卵焼き」と言われるほど、時代の象徴でした。2013年1月19日、死去。
北の湖敏満(第55代横綱)
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元横綱 北の湖は1970年代を代表する大横綱です。幕内最高優勝は歴代5位の24回、横綱在位は歴代1位の63場所です。現役時代は憎らしいほど強い横綱と称されるほど、圧倒的な強さで優勝回数を重ねていきました。現役引退後は日本相撲協会の理事長としても手腕を発揮していましたが、現職理事長のまま62歳でお亡くなりになりました。2015年11月20日、死去。
千代の富士貢(第58代横綱)
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元横綱 千代の富士は1980年代を代表する大横綱です。小兵で筋肉質な体型からウルフと呼ばれた昭和の大横綱としても有名です。幕内最高優勝は歴代3位の31回、通算勝ち星は歴代3位の1045勝、横綱在位は歴代3位の59場所です。千代の富士は一代年寄を辞退しましたので、現役引退後は九重貢を名乗っていました。2016年7月31日、死去。
貴乃花光司(第65代横綱)
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元横綱 貴乃花は1990年代を代表する大横綱です。幕内最高優勝は歴代6位の22回、横綱在位は歴代5位の49場所です。貴乃花は、幕下優勝や十両昇進、幕内昇進や横綱初挑戦、三賞や金星、小結昇進や関脇昇進、大関昇進や幕内優勝など、数々の最年少記録を更新した大横綱でもあります。兄の3代目若乃花と共に若貴フィーバーと呼ばれ、大相撲がブームになった時代でした。
一代年寄の条件は?
一代年寄の条件は、現役時代に特別な功績があった引退力士となりますので、特に明確な基準やルールが定められているわけではありません。
ただ、一代年寄の目安としては、「幕内最高優勝が20回以上」とされています。
また、元横綱の北の湖が理事長時代に、国籍に関して優遇措置は取らない方針を表明していましたので、一代年寄の条件として「日本国籍を有すること」も重要なポイントと言えます。
一代年寄の条件
一代年寄には明確な基準は存在しませんが、目安として幕内最高優勝が20回以上となります。また、日本相撲協会の親方(年寄)になるには日本国籍を取得することも条件となりますが、一代年寄についても同じ条件が適用されるものと考えられます。
一代年寄の目安
幕内最高優勝が20回以上
日本国籍を有すること
一代年寄と通常の年寄の違いは?
一代年寄は、現役時代に大きな功績を残した力士に対して、引退後も現役時の四股名を名乗ることを認める権利です。
そのため、一代年寄は誰でも名乗れるものではなく、ごく限られた力士だけが一代年寄を認められることになりますので、一代年寄になることは大相撲の世界では大変な名誉なことです。
また、現在までに一代年寄は大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花の4名しか認められていないことからも、一代年寄になれるということは、大相撲の世界で今後も語り継がれる非常に価値のある名誉であることがわかります。
一代年寄と通常の年寄の違い
一代年寄は、歴史に名を残す名誉ある年寄名跡ではありますが、一代年寄と通常の年寄で給料やボーナスなどの報酬が異なるということはありません。
また、引退後の待遇についても、特に一代年寄と通常の年寄の違いはありませんので、一代年寄はあくまでも大横綱に対して最大限の名誉を与えるという意味合いとなります。
一代年寄は大相撲の殿堂入り力士
一代年寄は、大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花の4名だけに認められたものです。
これは、プロ野球の殿堂入りに似ています。たとえば、通算本塁打868本を記録した国民栄誉賞受賞者第一号の王貞治さん、打撃の神様と呼ばれ、日本プロ野球史上初の2000安打を達成した赤バットがトレードマークの川上哲治さん、日本プロ野球史上唯一の通算400勝を達成した金田正一さん、日本プロ野球史上唯一の3000安打を達成した張本勲さんなど、プロ野球の世界では優れた活躍をした選手や監督・コーチ、野球の発展に大きく寄与した人物に対して、その功績を称え顕彰するために殿堂入りという表彰制度があります。
またメジャーリーグでも、歴代最多の通算511勝を挙げたサイ・ヤング、メジャーリーグ歴代2位の安打数4191本のタイ・カッブ、野球の神様と呼ばれた通算本塁打数714本のベーブ・ルースなどが、ニューヨーク州クーパーズタウンの野球殿堂博物館のギャラリーにレリーフが飾られています。
大相撲の一代年寄も、今後何十年、何百年と語り継がれるであろう年寄名跡となるでしょう。